|
|
Getty Images
ミランの会長を務めるメディア王シルヴィオ・ベルルスコーニが数年前、自らのチームに付けた立派なスローガンがある。「世界で最も多くのタイトルを獲得したクラブ」というものだ。実際にミランは、これまでに大小合わせて18の国際タイトルを獲得してきた。
バルセロナがもう一度欧州王者や世界王者のタイトルを獲得すればその記録に並ぶため、ミランはスローガンを修正しなければならない。早ければ今年の5月にもそうなるかもしれない。ベルルスコーニは気に入らないだろうが、「世界で最も過大評価されたクラブ」という新たなスローガンを提案させてもらおう。
現在ビッグクラブだと見なされているミランだが、少し振り返ってみれば過去10年間に大きな成功を収めたことはそう多くはなく、しかも幸運に助けられたケースが大半だ。それほど価値が高いとはいえないスーパーカップの類を除外すれば、獲得したタイトルは5つのみ(クラブ・ワールドカップを含めれば6つだ)。うち3つが国内タイトルのスクデット(2004、11年)とコッパ・イタリア(03年)である。
ミランが件のスローガンを通して誇っているものは国際タイトルの数だが、カルロ・アンチェロッティの下で過去10年間に獲得した2度のチャンピオンズリーグ(CL)のタイトルは、いずれも相当に奇妙な経緯で手に入れたものだ。
まずは03年5月の優勝。サッカーの歴史の中で、準決勝でも決勝でも一度も勝てなかったチームがタイトルを獲得したのはおそらくこれが唯一の例だろう。この大会の最後の300分間でミランが記録した得点はわずかに1つ。準決勝でのインテルとの2つの引き分け(0-0、1-1)に続いてマンチェスターでの決勝もスコアレスドローに終わったが、その年のバロンドールを受賞するパヴェル・ネドヴェドを欠いたユーベをPK戦の末下すことに成功した。
ミランが最後に優勝した07年の大会にまつわる話は、それ以上に興味深いものだ。決勝ではリヴァプールを2-1で下したが、これはフィリッポ・インザーギのまったくの偶然による得点(体に当たってコースの変わったボールがゴールの中へ)のおかげだった。また覚えている者は少ないだろうが、このシーズンのチャンピオンズリーグへの出場は結局認められたものの、ミランは前年の夏に「カルチョ・スキャンダル」への関与によりイタリア国内で処分を受けていたのだ。
今シーズンもまた、ミランは平凡な成績を残しながらも「ビッグクラブ」としてのイメージを売ることに成功している。セリエAとCLでこれまでに行われてきたイタリアや欧州他国のビッグクラブとの直接対決(ユヴェントス、インテル、ローマ、ウディネーゼと各1回、ナポリ、ラツィオ、バルセロナと各2回)の結果を集計してみると、ミランは計10試合でローマ戦のわずか1試合にしか勝っていない。あとは4引き分けと5敗。勝ち点に換算すると30ポイント中7ポイント獲得という成績だ。
それでは、このチームの「顔」であるズラタン・イブラヒモビッチの戦いぶりはどうだろうか? 数字をよく見てみれば、今季のリーグ戦で彼が記録したPK以外の得点は9点のみ。彼ほどには騒がれていないディエゴ・ミリートやアレッサンドロ・マトリと同じ数字である。上記のビッグクラブとの対戦では、イブラはラツィオ戦とローマ戦でしかゴールを記録していない。
驚くにはあたらない。イブラヒモビッチは格下との試合を得意とする典型的なタイプの選手であり、強豪チームと対峙した際にはしばしば消えてしまう傾向がある。代表チームでも何度か良い活躍を見せてはきたが、結局スウェーデン代表を大きな成功へ導いたことはない。
欧州カップではグループリーグで際立った活躍をするが、決勝トーナメントに入るとこれといった働きを残せていない。セリエAでも、大一番の勝負が彼のゴールで決着したようなケースはほとんど思い出せない。
強豪との対戦の際には不満の残るパフォーマンスに終わってしまうことが多い。今週日曜日のナポリ戦でもやはりそうだった。ミランはこの試合に勝てば首位を奪還できるはずだったが、イブラは60分過ぎまで何もせずに過ごしたあげく、相手選手へのばかげた平手打ちで退場になるという結末を迎えた。
結局のところ、世界で最も過大評価されている選手が世界で最も過大評価されているクラブでプレーしているのは何も不思議ではないのかもれないが…。
ミランはまだCLも含めて3つの大会で優勝の可能性を残しており、私の言うことが間違っていたと証明してくれるかもしれない。そうなればミランは来年も引き続きベルルスコーニのお気に入りのスローガンを掲げ続けることができる。
文/チェーザレ・ポレンギ
著者プロフィール:1994年から日本に在住し、日本のサッカーやイタリアのサッカーを熱心に追い続けている。Goal.com東アジアエリアのマネジングエディターを務め、イタリアの有力サッカー誌『カルチョ2000』やインテルチャンネル・ジャパンでの仕事にも携わる。
バルセロナがもう一度欧州王者や世界王者のタイトルを獲得すればその記録に並ぶため、ミランはスローガンを修正しなければならない。早ければ今年の5月にもそうなるかもしれない。ベルルスコーニは気に入らないだろうが、「世界で最も過大評価されたクラブ」という新たなスローガンを提案させてもらおう。
現在ビッグクラブだと見なされているミランだが、少し振り返ってみれば過去10年間に大きな成功を収めたことはそう多くはなく、しかも幸運に助けられたケースが大半だ。それほど価値が高いとはいえないスーパーカップの類を除外すれば、獲得したタイトルは5つのみ(クラブ・ワールドカップを含めれば6つだ)。うち3つが国内タイトルのスクデット(2004、11年)とコッパ・イタリア(03年)である。
ミランが件のスローガンを通して誇っているものは国際タイトルの数だが、カルロ・アンチェロッティの下で過去10年間に獲得した2度のチャンピオンズリーグ(CL)のタイトルは、いずれも相当に奇妙な経緯で手に入れたものだ。
まずは03年5月の優勝。サッカーの歴史の中で、準決勝でも決勝でも一度も勝てなかったチームがタイトルを獲得したのはおそらくこれが唯一の例だろう。この大会の最後の300分間でミランが記録した得点はわずかに1つ。準決勝でのインテルとの2つの引き分け(0-0、1-1)に続いてマンチェスターでの決勝もスコアレスドローに終わったが、その年のバロンドールを受賞するパヴェル・ネドヴェドを欠いたユーベをPK戦の末下すことに成功した。
ミランが最後に優勝した07年の大会にまつわる話は、それ以上に興味深いものだ。決勝ではリヴァプールを2-1で下したが、これはフィリッポ・インザーギのまったくの偶然による得点(体に当たってコースの変わったボールがゴールの中へ)のおかげだった。また覚えている者は少ないだろうが、このシーズンのチャンピオンズリーグへの出場は結局認められたものの、ミランは前年の夏に「カルチョ・スキャンダル」への関与によりイタリア国内で処分を受けていたのだ。
今シーズンもまた、ミランは平凡な成績を残しながらも「ビッグクラブ」としてのイメージを売ることに成功している。セリエAとCLでこれまでに行われてきたイタリアや欧州他国のビッグクラブとの直接対決(ユヴェントス、インテル、ローマ、ウディネーゼと各1回、ナポリ、ラツィオ、バルセロナと各2回)の結果を集計してみると、ミランは計10試合でローマ戦のわずか1試合にしか勝っていない。あとは4引き分けと5敗。勝ち点に換算すると30ポイント中7ポイント獲得という成績だ。
それでは、このチームの「顔」であるズラタン・イブラヒモビッチの戦いぶりはどうだろうか? 数字をよく見てみれば、今季のリーグ戦で彼が記録したPK以外の得点は9点のみ。彼ほどには騒がれていないディエゴ・ミリートやアレッサンドロ・マトリと同じ数字である。上記のビッグクラブとの対戦では、イブラはラツィオ戦とローマ戦でしかゴールを記録していない。
驚くにはあたらない。イブラヒモビッチは格下との試合を得意とする典型的なタイプの選手であり、強豪チームと対峙した際にはしばしば消えてしまう傾向がある。代表チームでも何度か良い活躍を見せてはきたが、結局スウェーデン代表を大きな成功へ導いたことはない。
欧州カップではグループリーグで際立った活躍をするが、決勝トーナメントに入るとこれといった働きを残せていない。セリエAでも、大一番の勝負が彼のゴールで決着したようなケースはほとんど思い出せない。
強豪との対戦の際には不満の残るパフォーマンスに終わってしまうことが多い。今週日曜日のナポリ戦でもやはりそうだった。ミランはこの試合に勝てば首位を奪還できるはずだったが、イブラは60分過ぎまで何もせずに過ごしたあげく、相手選手へのばかげた平手打ちで退場になるという結末を迎えた。
結局のところ、世界で最も過大評価されている選手が世界で最も過大評価されているクラブでプレーしているのは何も不思議ではないのかもれないが…。
ミランはまだCLも含めて3つの大会で優勝の可能性を残しており、私の言うことが間違っていたと証明してくれるかもしれない。そうなればミランは来年も引き続きベルルスコーニのお気に入りのスローガンを掲げ続けることができる。
文/チェーザレ・ポレンギ
著者プロフィール:1994年から日本に在住し、日本のサッカーやイタリアのサッカーを熱心に追い続けている。Goal.com東アジアエリアのマネジングエディターを務め、イタリアの有力サッカー誌『カルチョ2000』やインテルチャンネル・ジャパンでの仕事にも携わる。
インサイドGoal.com
/* empty because this one does not have controls */?>