コラム:古豪はドイツを再び制するか?

トップ3を追走するボルシアMG

Bundesliga: Borussia Mönchengladbach - Bayern Munich, Mike Hanke and Marco Reus
Getty Images
■若返った大ベテラン

ドルトムントのように、若さと勢いで大量得点を生み出せるわけでもない。カットインからシュートとパターンが分かり切っていても止められない、アリエン・ロッベンのような兵器を備えているでもなし。クラース・ヤン・フンテラールの覚醒は彼のおかげではとさえ思わせる、ラウール・ゴンサレスのようなカリスマも存在しない。だが、ボルシア・メンヒェングラッドバッハは、まだまだ上位で争い続けるように感じる。

最近のブンデスリーガの順位表では、勝ち点で並んでいたトップ3チームにばかり焦点が当てられていた。だが、彼らをぴたり1ポイント差で追走していたボルシアMGを無視するというのは、失礼というものだ。

自分が生まれた頃とあっては、1970年代の黄金時代も色あせた写真で知るに過ぎない。しばらく前に第一線から退いたその大ベテランが、経験値と頭脳はそのままに体だけ若返ったかのような印象だ。派手さはないが、90分を逆算したかのように、焦らぬゲーム運びで勝ち点を重ねてきた。若い体を、老練さが効果的に動かしているかのようだ。

好調の要因は、数字にはっきり表れている。リーグ20試合を終えての12失点は、リーグ最少である。ただし、頑強な男たちがゴール前に壁をつくるわけではない。むしろ適度なラインの高さを保持して、腰高なスタイリッシュさを失わない。慌てず、騒がず、振り回されず。選手同士が互いの能力と役割を尊重しつつ、丁寧に自分の仕事を果たすからこそ、簡単に選手間に相手プレーヤーに顔を出させることなどない。サイドにボールを動かされれば、当然のごとく複数名で担当し、縦に抜かれることは遠慮申し上げる。


上の2チームがつまずいたリーグ前節は、存在感を増す絶好機だった。お付き合いでヴォルフスブルクと引き分けたのは残念だったが、しっかりとクリーンシートは保っていた。勝ち点1を積み上げる一方で無得点に終わったが、その前はリーグ2試合連続で3得点を記録している。

■シンプルな攻撃の美しさ


前々節のシュトゥットガルト戦では、こちらもこのチームの機能美の一つである、シンプルな攻撃の美しさを堪能できた。昨季は縦に裏へと抜けるばかりだったマルコ・ロイスは、サイドのスペースを使う楽しさを学んでいる。それもマイク・ハンケという前線の軸となる相棒がいればこそで、前線を駆け回る自由を謳歌している。

中盤右のパトリック・ヘアマンも、献身的にエースFWを支える。逆に左のフアン・アランゴは、今の時代には珍しく、左足一本で生き抜く覚悟をプレーで示す。中盤から利き足で中距離のパスを配し、右サイドでヘアマンが汗をかく間に、すっとボックス前に忍び込んでシュートを狙う。

こんな4人が、シュトゥットガルト戦での先制点を“アシスト”した。ヘアマンが相手の目を引き付ける間に、2トップがそれぞれ良い位置に入り込む。この裏で攻め気を見せたアランゴが誘発したFKが、均衡を破ったのだ。

この長距離のFKをゴール前のハンケに送ったのはロイスだったが、このストライカーはプレースキック以外にも多才であることを示した。81分にはカウンターからの一人旅の最後、タイミングをうまくずらした冷静なシュートで今季リーグ12点目を決めた。その3分後に今度は視線を集めつつボールを横に動かす中継点になり、ダメ押し点につなげた。周囲をうまく使い、自身もうまく使われるそのバランスの良さからしても、かつてアカデミーから昇格を目指したという精神的な要因のみならず、来季からの居場所にバイエルン・ミュンヘンではなくドルトムントを選んだのは、正しい選択だったろうと思わせる。

そのロイス、89分に交代でピッチを去る際には、まったく疲れた様子を見せていなかった。目を移せば、ほかの仲間たちも、まだまだ元気が余っているようにさえ見えた。統制された組織プレーの中では、頭のそれより体の疲労度はずっと低くとどめられているようだ。

かつての周囲の大きな期待も程よくそがれ、数度の2部との行き来も経験した古豪は、落ち着いて今季のゴールを見据えている。なにせ昨季の今ごろは不振にあえぎ、2部との入れ替え戦に臨んでいたチームだ。当初の目標は、十分にクリアできるだろう。リラックスしてスタミナの使いどころを心得たボルシアMGの選手たちは、まだまだ走れそうである。

今週末のシャルケ戦、勝てば大きな弾みとなるのは間違いない。ラウールという高い経験値との激突も楽しみだ。だがホームでのこの一戦、望みどおりの結果を得たとしても、おそらく彼らは騒がず、浮き足立つこともなく…。


文/ナッシュ・ネグロ


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