ガイジン’s アイ:もっと自由な感情表現を

おとなしすぎる日本人サポーター

Urawa Red Diamonds (Reds) supporters
Cesare Polenghi
ファンであるということの意味は国ごとに、また個人ごとに異なっている。長年にわたってチームに身を捧げ、良い時にも悪い時にも応援を続けるため各地を飛び回り、そうやってチームにタイトルを取らせるべきだと考える者もいる。一方で、サポートというものをひとつの商品のように捉える者もいる。試合のチケットやレプリカユニフォームやスカーフなどを購入することで、栄光を分かち合ったり良くない時期にブーイングを浴びせたりする権利が簡単に得られるというわけだ。

ファンにはそれぞれが選んだ方法で、好きに応援する自由がある。国内のクラブチームや代表チームの試合でスタジアムをカラフルに染め、活発に声を挙げて試合の雰囲気をつくり上げる日本のファンは、しばしば世界で最高のサポーターの一つに挙げられる。十分な数のファン(Jリーグはかなりの観客数を誇っており、2011年のJ1平均は1試合あたり1万5000人を上回った)がスタジアムに集まることに加えて、攻撃的なファンが多い他国から、日本のサポーターは模範にすべき存在だとされることが多い。サポーター絡みの不愉快な事件は最小限に抑えられている。

観客席での暴力的な行為を誰も見たいとは思わないし、スタジアムが家族連れにも優しい雰囲気であることは非常に重要だ。サッカーが発展を続けていくために新規のサポーターの獲得が欠かせない日本のような国ではなおさらのことだ。それは素晴らしいことである。しかし、場合によっては、多少の緊迫感が雰囲気を高めるというようなこともある。サッカー界に存在する有名なライバル関係において、摩擦や反目、敵対心といったようなものは欠かせない要素である。リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッド、バルセロナとレアル・マドリーを考えてみるといい。スタジアム内のそういった雰囲気やライバルチームのサポーター間のやり取りは、ピッチ上での両チームの激突と同じくらい楽しみにされているのだ。ピッチ上のプレーと組み合わされることで、ファンの振る舞いは試合の盛り上がりと連動したものになり、逆に観客席の動きが選手たちに(良くも悪くも)影響を与えるということも起こりうる。


そのために必要とされるのは、ファンの自発性だ。ただ、それは日本のスタジアムにはほとんど見られないものだ。日本のファンは感情に身を任せ試合に没頭してしまうよりも、より一定した、機械的とまで言えるようなやり方を選んでいる。応援するチームが3-0で勝っていようが0-3で負けていようが、いつもと変わらないチャントやコレオグラフィーが繰り返されるばかりだ。感情の発露までもがコールリーダーの掛け声のタイミングに合わせることを強要されているようである。

日本社会の特徴である秩序やヒエラルキーは、スタジアムの入り口に置いてくるべきではないだろうか。どうやってチームをサポートし、いつどの歌を歌うのか。ファンはそんなたくさんの規則に従うことを求められるべきではない。試合に没頭し、感動することが許されるようでなくてはならない。感動しないことも許されていい。チャントを歌うことに負けず劣らず、沈黙が力強い主張となることもある。応援するチームが良いプレーをしておらず、座席に腰を下ろして抗議したいと思うならそうすればいい。

加えて、少しくらい相手チームに食ってかかるのも悪くはない。歌や手拍子を続けて自分たちのチームを応援することだけに集中するあまり、日本のファンは倒すべき相手がいることを忘れているように感じられる。選手たちをサポートすることももちろんその目的のためになるだろうが、相手がやりにくく感じるような空間を作り上げようとはしないのだろうか? 相手チームのスタメンが読み上げられる際にあまり感情のこもらないブーイングが聞こえてくることは多いが、一旦試合が始まってしまえば相手の選手を刺激するような掛け声は厳密に禁止されているかのように思える。

柏レイソルはひとつの例外である。このチームのサポーターは、相手選手が近づいて来るたびにピッチと観客席の近さを最大限に利用している。この点に関して、彼らはほぼ唯一の存在だと言っていい。浦和レッズももともとは同様の評判を得ていたチームだったが、順位の垂直降下によって最近ではそれどころではなくなっている様子だ。

試合の運営側は当然ながらこういった部分で協力的ではなく、たまにサポーター同士が刺激し合うことがあれば厳しく取り締まられてしまう。近年では浦和やガンバ大阪が「不適切」な横断幕のため罰則を受けた。なぜそういった対処が必要だと感じられているのかは、私にとっては一種の謎である。スタジアム内がほんの少し熱い雰囲気になることを許容してみれば、年々成長を続けているJリーグに対してさらなる後押しとなるのではないだろうか。


文/ショーン・キャロル


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